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ツァイガルニク効果 [心理学]

 ロシアの心理学者ブルマ・ツァイガルニクは、ベルリンで博士課程の為の研究をしている間に、指導教授であったクルト・レヴィンから、ウェイターは既に支払いの終わった注文の詳細よりも、未だ支払いの済んでいない注文の詳細の方をよく覚えていると言う観察を聞かされた。これを聞いたツァイガルニクは、未完の課題は完了したそれとは違った位置を記憶の中で占めている為、より良く覚えられるのでは無いかと考えた。そこでツァイガルニクは、被験者に簡単なパズル乃至課題を与える実験を考案した。但し、被験者はその課題を半分終えた所で中断させられる。後になって、自分のやった行動をどれ位覚えているのか尋ねられると、それが最終的に完了させるか否かには関わりなく、中断された課題の詳細の方が2倍は良く覚えられていた。この理由は課題が完了していない為、記憶が異なった風により効果的な形で貯蔵されたからではないかとツァイガルニクは推論した。

 この現象は、後に「ツァイガルニク効果」として知られるようになるが、重要な示唆を含んでいる。ツァイガルニクの考えでは、学生、取分け子供は学習中に頻繫に中断を入れられた方がよりよく記憶する。だが、1950年代になって記憶が改めて中心的な研究主題に返り咲く迄は、その考えは殆ど注目されなかった。それ以降は、ツァイガルニクの理論は、記憶の理解における重要な一段階と見做されており、教育のみならず、広告やメディアといった領域でも、広く応用されている。

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