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精神生活は生命のはじまりと同時に始まった [心理学]

ダーウィンの進化論により、人間は遺伝的に他の動物達とリンクしており、意識は進化のスケールの最も低次の生き物から人間自身に至るまで機能していると断言され、様々な心理的実験が動物を用いてされるようになった。

そういう風潮を受けて、ドイツの医師にして哲学者、そして心理学者であった実験心理学の父と呼ばれるヴィヘルム・ヴントが1879年、ドイツのライプツィヒ大学に世界初の実験心理学研究室を創設した。

ヴントはその著「生命学的心理学原理」の中で、「意識とはあらゆる生ける有機体が共有している普遍的な所有物であり、進化の過程が始まると共に存在してきた」と主張している。


ヴントの考えでは、「意識の精密な記述」こそが実験心理学の唯一の目標であり、意識を「内的経験」と理解するもヴントが関心を抱いたものは専ら「直接に現実的なもの」ないしこの経験の明白な形式であった為、最終的に「直接的観察」によって研究も数量化も可能な行動のみを研究対象とした。

ヴント曰く、観察には外的観察(外界で見得るものを記録、例として刺激━反応実験)と内的観察(内省ないし自己観察)の2種あると言う。

外的観察は実験動物(人間においては光知覚に対する反応等)に刺激を与えて反応を見、記録を取るものであり、内的観察は思考や感情といった内面的な出来事に気付き、記録できる。


ヴントによれば、意識は表象・意思・感情という行為に関わる3つの主要なカテゴリーからなると主張した。

表象は、それが外界にある知覚された対象を指す場合は「知覚」であり、主観的な活動を対象とする場合は「直感」であり、知覚ないし表象が意識の内で明確になっていく過程を「統覚」と呼んだ。

意識の中で意思のカテゴリーは、それがどのように外界に干渉するかで特徴付けられる。

感情は被験者の主観的報告を通して、或は緊張と緩和もしくは興奮の行動レベルの計測で推測可能と考えた。


ヴントは意識を語る上で宗教・言語・神話・歴史・芸術・法律等の文化が関わっていると主張する。

殊に、統覚の象徴である言語は人間と他の動物を隔てる最大のものであると論じている。

意識と種については動物が自己認識ないし意識を持つかについてヴントは肯定的であったようだ。

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