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記憶の忘却曲線 [心理学]

1885年にヘルマン・エビングハウスは、自身を被験者として長時間に亘りヘトヘトになる程の実験を行って、学習と記憶を組織的に研究した最初の心理学者となった。

エビングハウスは、記憶が検証可能なパターンに従うかどうかを確かめるべく、結果を数学的に記録して、記憶に関して連合の効果をテストした。

エビングハウスはまず、単語リストを記憶し、その内幾つ思い出せるかテストした。


その際、連想が働くのを防ぐ為に、2300もの「無意味綴り」を作成し、これはどれもが3文字からなり、例えば「ZUC」「QAX」と言った具合に、基本は子音━母音━子音のスタイルで統一され、これらを基にリストを作成する際に、エビングハウスは個々の綴りを1秒だけ見て、リスト全体にもう1度目を通す前に15秒の間隔を置いた。

この作業が、リスト全体を正確に一定のスピードで暗証できるようになるまで繰り返され、更にエビングハウスは、学習と忘却の速度に注意しつつ、異なったリストの綴りのリストを用いたり、学習の為のインターバルを変えたりと様々に試行した。

この結果分かったのは、無意味綴りに比べれば、詩のような意味のある素材の方が10倍も容易に覚えられると言うことだ。


更に、刺激(この場合には無意味綴り)が反復される回数が増えればそれだけ、記憶された情報を思い起こすのに要する時間は減り、最初の数回の反復が綴りテストを記憶するのに最も効果的であった。

当然の事だが、忘却の証拠を示す実験結果を考察して見ると、自身が時間を掛けて記憶したものは忘れる速度が遅くなり、学習の直後の記憶再生が最も良い成績をあげた。

エビングハウスは更に、記憶の保持に予期していなかったパターンが認められる事も明かにし、大抵最初の1時間で記憶能力は急速に失われ、その後は段々と失われてゆき、9時間が過ぎると6割近くが失われる。


24時間が経過すると、何であれ記憶された内容の内の2/3は忘れ去られる。

表に表すと、そこにははっきりとした「忘却曲線」が現れ、この曲線は、最初急激に下降した後は緩やかな曲線を描く。

エビングハウスの研究によって開拓された新しい探究領域は、科学的研究としての心理学を確立に寄与した。

細心の配慮をもって組立てられたその研究手法は、今日に至るまであらゆる心理学実験の土台となっている。





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